不動産の販売図面や賃貸物件の図面を見ると、物件価格や家賃の項目に合わせて「共益費」や「管理費」と記載された項目があることに気づくじゃろう。
この共益費や管理費とはいったいどのような費用にあたるのか?
ここでは、これから初めて一人暮らしを始める方や、夢のマイホームとしてマンションなどの共同住宅の購入を検討している方の為にわかりやすく共益費と管理費の仕組みについて学習していくとしよう。
共益費とは、主にマンションやアパートなどの共用部分の維持管理を行うために発生する費用の事を指しておる。
代表的な共用部分といえば、廊下部分や階段部分、そしてエレベーター等がこの共用部分に該当するのぉ。
例えば、新築のマンション物件を購入し、数年が経過すると廊下部分の電灯が経年劣化により切れてしまう事がある。
この共用部分の電灯はマンションに居住しておる全ての家庭が必要となるのものであり、マンション居住者の中で電球が切れている事に気がついた一個人が費用を負担して交換作業を行うようなものではない事は何となく解るのぉ。
同様に廊下などの共用部分の電気代に関しても、居住者の誰かが支払うのではなく居住者全員で平等に負担することが当然と感じるじゃろう。
このように、マンションやアパートに居住するみんなが使用する共用部分の維持管理を行うには、電気代や電球の交換費用、そして交換作業を行うにはそれなりの人件費などの費用がかかってくる事になる。
共益費はこのように、居住者がよりよい生活を過ごすために共用部分に発生する維持管理費用をみんなで毎月少しずつ負担し、積み立てていく費用と考えておくと解りやすいじゃろう。
管理費とは、その名の通り物件の維持管理にかかる費用の総称の事じゃ。
共益費は共用部分にかかる費用であることに対し、管理費は物件の維持管理にかかる費用であるため「より広い範囲の定義」として考える事ができるのぉ。
賃貸物件では共益費という記載を多く見かけるはずじゃが、中規模から大型のマンション物件の場合は管理費という言葉が記載されておるケースが多くなっておる。
これは物件管理を行うために専門の物件管理会社を通していたり、管理人が常駐しておるなど共用部分だけじゃなく、管理員の人件費なども含めたおおまかな管理費用を管理費として掲載しておる為じゃ。
共益費と管理費は細かく性質を見極めていくと若干異る範囲、性質を持つ費用であると考える事ができる。
しかし現実的には物件のオーナーによって定義もまちまちとなっており、共益費と管理費は全く同じような使われ方をしておるのが現状であると言えるじゃろう。
ある地主さんAは所有物件の全てを管理費と表記していたり、地主Bさんは全てを共益費と表記する。
共益費と管理費はこのように、各々の定義などによっても自由に使用されている傾向もあるため、物件探しを行う際は「共益費」=「管理費」と考えおいても問題無いじゃろう。
また賃貸物件では、家賃と共益費の記載に関しても曖昧な表記がなされておるケースが多いものじゃ。
例えば賃貸物件の中には共益費ゼロと記載しておる物件も多くある。
しかし、共益費ゼロだから共用部分の電灯はつけません。と言う訳ではない。
この場合は共用部分の維持管理費用を賃料に含めているだけの事なのじゃ。
賃料45000円・共益費5000円の賃貸物件も、賃料50000円・共益費ゼロ円の物件であっても共用部分の電灯が切れたならば交換するじゃろうし、エレベーターが故障したら当然修理をする。
同じ総額50000円の家賃であっても、共益費を設けて後述する仲介手数料や敷金などの初期費用を安く設定する大家さんもいれば、わかりやすいように共益費込みの50000円で募集しておる大家さんもいるという訳じゃな。
その為、共益費と管理費について深く気遣うよりも家賃と共益費、及び管理費の総額で月々の賃貸料の総額…⇒続きを見る
物件概要書やマイソク図面(不動産屋さんにもらう図面)の共益費の価格設定はいったいどのように計算されておるのじゃろうか?
同じ地域内の物件で同じような間取りの物件であっても共益費が大きく異る物件が実際にある点を考慮すると、この共益費の価格設定が妥当であるのかどうかについて気になることもあるじゃろう。
ここでは共益費の一般的な相場について確認しておくとしよう。
まず共益費の相場は前項でも解説した通り物件の大家さんによってまちまちである為、厳密的な相場と言うものは実在しない点を把握しておく必要がある。
しかし、おおまかな範囲で考えた場合の全体的な共益費の相場はやはり存在しておる。
尚、最も代表的な共益費の価格設定は月額家賃の5%〜10%ラインが平均相場と考えておいてよいじゃろう。
イメージとしては5%以下であれば、共用部分の管理やゴミ出置き場などの管理が大丈夫かどうかやや不安と考える事もできるし、10%以上となると、共益費が取り過ぎではないか検討してみる価値はあると言えるじゃろう。
共益費の相場の目安一覧表 | |
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月額賃料・家賃 | 共益費の目安 |
40,000円 | 2,000円〜4,000円 |
50,000円 | 2,500円〜5,000円 |
60,000円 | 3,000円〜6,000円 |
70,000円 | 3,500円〜7,000円 |
80,000円 | 4,000円〜8,000円 |
90,000円 | 4,500円〜9,000円 |
100,000円 | 5,000円〜10,000円 |
尚、後述しておる公営住宅や市営住宅などの場合は、収入に応じて家賃算定を行うなど家賃設定が極端に低くなるケースもあり共益費が月額家賃の30%以上となるケースもある点を覚えておくことじゃ。
【賃貸物件の共益費の相場の確認ポイント】
◆地域によっても相場が異なるが賃貸物件の共益費は月額家賃の5%〜10%程度が相場である
◆公営住宅や市営住宅は賃料算定の基準が収入に対応するため共益費が月額家賃の30%程度になるケースがある
共益費がゼロ円、もしくは極端に安い賃貸物件の場合は、共用部分の管理がなされているかどうか一度物件を実際にチェックしておくことをおすすめする。
これは例えば物件の大家さんが地元に住んでおらず遠方に住んでおり、特に物件の管理をせずに放置状態となっておる物件である可能性が検討されるためじゃ。
物件の大家さんによっては仮に遠方に住んでいても管理会社を通じて物件のメンテナンスや維持管理をしっかり行なっておる場合も多い。
この場合は、家賃以外に管理会社に支払う月額管理料の支払いがある為、極端に安い共益費の価格設定となるケースはなかなか考えにくいものじゃ。
その為、共益費が安すぎるような物件の場合は物件が荒れていたり、管理が行き届いていない可能性が考えられるという訳じゃな。
不動産運営に対して熱意に乏しい大家さんであれば管理費をあえて徴収せずに、居住者の自主管理としておく事で煩雑な管理業務を放棄しておるのかもしれん。
その為、共益費が極端に低い場合や共益費ゼロ物件の場合は念のため、物件管理状態を確認しておきたいものじゃ。
地域内の物件で同じような間取りの物件であっても共益費が高額となっている物件の場合は、その共益費の額に見合う物件管理がなされておるかどうか念のため確認しておく事が大切じゃ。
特に、同じ地域内で駅からの距離もほぼ同じ、更に間取りも同じような物件であったとしても、エレベーター付きの物件であればエレベーター無しの物件よりも維持管理費がかかる為、共益費が高額に設定されておるようなケースも存在する。
例えば、上記共益費の相場の目安一覧表の月額家賃60,000円の場合の共益費は3,000円〜6,000円程度が相場の目安となっておるが、中規模以上のエレベーター付きの賃貸物件であれば5000円程度の共益費が設定されておるケースが多くあるのじゃな。
実際にエレベーター付きの賃貸住宅などでは多くのケースで共益費が月額家賃の7%〜10%程度とやや高い設定が相場ラインとなっておる。
また賃貸価格と共益費の割合から見ると、新築物件ほど共益費の負担金…⇒続きを見る
厚生労働大臣が定める生活保護者の住宅扶助は住宅の地域や家族構成(7人以上の家族)によって家賃補助額が異なっておる。
尚、この生活保護に関する住宅扶助の範囲は、厚生労働大臣が定める上限額内の家賃となっておる点をご存じじゃろうか?
ここでは、生活保護者の住宅扶助の家賃と共益費の考え方について幾つかの事例を元に確認しておくとしよう。
生活保護の受給を検討しておる方や、その仕組みを調べておる場合に物件の共益費は住宅扶助に含まれるのかどうか?という疑問を抱いた事がある方も多いのではないじゃろうか?
まず、この疑問に対する答えを簡潔に述べると、「共益費や住宅扶助の対象に含まれない」というのが答えじゃ。
実際に、住宅扶助の支給範囲の拡大に対する強い要望として挙げられる項目には住宅費用の「共益費」や「火災保険料」まで支給対象を広げて欲しいという要望が毎回のように挙げられておる。
この事からも現行の生活保護における住宅扶助の範囲では共益費や管理費、火災保険料などの住宅費用は含まれておらず、これらの費用は実質、生活保護費(生活扶助)の中から別途支払う必要があるという事になるのぉ。
生活保護者の住宅扶助費の範囲は家賃が対象であり共益費は対象外である事はここまでに解説してきた通りじゃ。
しかし、現実的には同じ物件でも共益費が記載されている場合や、共益費が家賃に含まれている場合などがある事から、家賃を共益費込みで契約してしまえば全額が支給対象となるのでは?と思い浮かぶ方もいるじゃろう。
全く同じ物件でありながら契約形態だけで実質支給額が異るような事であれば、やはり共益費を家賃に含めておきたいと考えてしまうのは当たり前の事じゃ。
尚、賃貸契約を行う際に共益費を家賃に含めた金額で記載した契約書を用いて契約した場合、現実的には共益費を含めた家賃全額が実際に住宅扶助として支給されておるのが現状じゃ。
要は契約書の契約形態の違いだけで住宅扶助額が異る、いわゆる支給額の差別化がなされておるのが現状の生活保護制度という事になる。
但し、住宅扶助に関する規定は年々変更が加えられてきておる。
その為、今後もこのような契約形態によって支給額に違いが生じる状況が続くは限らない訳じゃが、あくまで現状は契約書に記載された文言をベースとして審査が行われておるという訳じゃ。
生活保護者が住宅扶助を受ける場合、少しでも気の利いた不動産会社であれば共益費を家賃に含めた金額で契約するような配慮をしてくれる事もあるじゃろう。
ここまで、家賃と共益費が別々の形態で契約した場合と、共益費を含めた家賃による契約形態の違いについて触れてきたのは、生活保護をより多く貰うための方法として解説してきた訳では断じてない。
ちょっとした契約形態の違いだけで「知らない人」と「知っている人」の間に格差が生じる可能性があるという解りにくい制度である点に触れたまでの事じゃ。
共益費に対する考え方としては、契約時に別途「共益費」としての項目を設ける場合、共益費と家賃は異る性質の費用である事をまず把握しておくことが大切じゃ。
共益費の慣習としては、家賃と共益費が別々である場合や、共益費を含む家賃…⇒続きを見る
同じ不動産物件であっても賃貸物件と市営住宅・公営住宅の共益費では異る部分が出て来る点をご存じじゃろうか?
これから市営住宅や公営住宅に入居することを検討しておる方は、賃貸物件における共益費と市営・公営住宅の共益費の相違点について覚えておくことが大切じゃ。
ここからは、市営住宅・公営住宅の共益費の主な特徴について確認しとおくとしよう。
市営住宅・公営住宅の共益費に関する最大の特徴は、入居者の自治組織による共益費の徴収・管理が多く実施されておる点じゃ。
共益費とはここまでに解説してきた通り、集合住宅の居住者の共用部分の維持管理を行うために必要となる費用を、居住者全員で毎月一定額積み立てていく資金じゃ。
通常の賃貸物件や、分譲マンション物件などの場合は大家さんや物件管理会社が共益費を徴収し、維持管理に関わる経理業務などもこなしておる。
しかし、一部の市営住宅・公営住宅の場合は、入居者の自治組織内で共益費の徴収から資金管理までを行なっておるケースがあるのじゃな。
市営住宅・公営住宅の共益費の徴収は、その自治体や自治組織によって会計役が選出されていたり、一定期間ごとの当番制で行われていたりするなど千差万別じゃ。
これは要は、不動産に全く不慣れな一個人が居住者全員の共益費の徴収や管理などの業務を行わなければいけない可能性があるという事を意味しておる。
自分が共益費の徴収役になるという不安は想像以上に大きいものじゃ。
これは市営住宅や公営住宅の居住者の中には共益費を滞納してしまう人も多いという現実的な問題が大きく関与しておる。
また自分が管理するだけでなく、不動産管理業務の素人である隣人が共益費を管理するという不安を抱える可能性もあると考えておくべきじゃろう。
共益費に関わらずお金の徴収業務や管理業務には常にトラブルがつきまとうものじゃ。
実際に市営住宅・公営住宅では、「共益費の不払い問題」や「管理者の使い込み」そして「横領」等の問題が毎年のようにあがっておる。
これらの共益費の不払いに関わるトラブルは、多くの原因があるのじゃが、その最大の原因は居住者全体の高齢化が大きな要因となっておる。
また使い込みや横領などのトラブルが相次ぐ原因…⇒続きを見る
賃貸物件や事業用の事務所物件、店舗物件を探していると必ずと言っていいほど一度はフリーレントと呼ばれる言葉が記載された物件を目にするはずじゃ。
このフリーレントとは、そのフリーレントとして設定した期間中の家賃を免除する募集形態の事じゃ。
例えば2ヶ月のフリーレントが付いている物件であれば、入居開始時から2ヶ月分は家賃がかからないという訳じゃな。
但し、ここで注意しておきたいのが、フリーレント期間中の共益費の支払じゃ。
一般的に、共益費に関しては別途記載がない限りフリーレント期間であっても共益費は発生すると考えておく事が大切じゃ。
共益費は個別の居室にかかる費用ではなく居住者全員で一定額を負担する費用でも在るため、フリーレント期間中であっても共用部分を利用する以上、共益費は支払うものと事前に認識しておいた方が良いじゃろう。
もちろん「共益費も含む」と別途記載されておる場合や、家賃に共益費が含まれておる場合はフリーレントの対象となるじゃろうが、念のため契約時に確認しておくと良いじゃろう。
尚、初月度の共益費の支払いは締め日に対して日割りで計算するのが一般的じゃ。
賃貸物件の契約を行う際は、敷金や礼金、仲介手数料に前家賃、そして契約後は物件への引越し代など多くの初期費用が発生する事になる。
新しい住居で生活を始める際は洗濯機や寝具、調理器具などの最低限の生活必需品の準備も必要となり想像以上にお金がかかってくるものじゃ。
その為、入居後数ヶ月のフリーレントが設定されておる物件に入居できたならば、引越し直後の最も負担が多くかかる時期に大きな助けとなる事は明らかじゃろう。
しかし、フリーレント物件を契約する際には解約に関する特約がほぼ間違いなくついておる点を覚えておくことが大切じゃ。
フリーレント物件の契約では、契約書に解約に関する特約事項が設定されておるのが一般的じゃ。
この解約に関する特約の内容は、簡潔に述べると短期解約時のペナルティー規定についての記載となっておる。
例えば、2ヶ月のフリーレント付きの賃貸契約を締結した場合、仮に賃貸人が1ヶ月で退去してしまうと大家側の立場から見ると全く収入を得られずに解約に至ることになる。
解約後の鍵や壁紙の交換や、その期間に他の入居者を募集できた機会損失も考慮すると、実質はマイナスであるとも言えるじゃろう。
その為、このようなリスクを回避するために解約に関する特約を設け、賃貸契約後半年間以内に解約した場合は一定額の違約金を支払うなどの解約ペナルティーを設定しておくと言う訳じゃ。
この解約に関する特約の意味を理解せずに好条件に思えるフリーレント物件を契約すると、いざ解約となった際に認識の違いによりトラブルに発展するケースも多くある。
しかし、契約書の特約に記載されておる条件通りの違約金の請求を受け、契約書に署名・捺印も行なっている場合は、自分の主張は受け入れてもらう事が難しいと考えておいた方が良いじゃろう。
尚、この特約に記載する期間は3ヶ月や半年、また長いケースでは1年〜2年など物件によっても特約期間…⇒続きを見る
賃貸物件を契約する場合は物件の紹介をしてもらった仲介業者に対して仲介手数料を支払うものじゃ。
また賃貸物件の大家さんには敷金や礼金などの初期費用を賃貸借契約の際に支払う事になる。
ここでは、賃貸物件の契約時に覚えておくべき共益費の扱いについて確認しておくとしよう。
賃貸物件を探す際は多くの場合、不動産仲介会社を通して物件探しを行うことになるものじゃ。
不動産仲介業者とは多くの賃貸物件情報を管理し、インターネットや情報誌、地域のチラシなどの広告媒体を使いながら賃貸人を募集し、大家さんと賃貸人の契約を仲介する不動産会社のことじゃ。
尚、この契約が成立した際に不動産仲介会社が得る報酬を仲介手数料と呼んでおる。
この仲介手数料は家賃に対して成功報酬手数料額を計算する決まりとなっておる。
尚、この仲介手数料は宅建業法によって月額家賃の1ヶ月分+消費税が報酬額の上限額と定められておる。
その為、共益費が設定されておる物件の場合は、共益費に対して仲介手数料が発生しない点を覚えておくことが大切じゃ。
例えば賃料50000円・共益費5000円の賃貸物件の場合。
仲介業者が得る仲介手数料が上限額の賃料の1ヶ月分である場合は、「55000円+消費税」の仲介手数料というのは間違いであり、「50000円+消費税」が正解となる。
この共益費に関する考え方に関しては賃貸物件を契約する際に必要となる初期費用の「敷金」や「礼金」に対しても同様の考え方で捉えておくことが可能じゃ。
仮に前項の事例の物件の敷金の設定が2ヶ月、礼金の設定が1ヶ月、仲介手数料が1ヶ月である場合は
2(敷金)+1(礼金)+1(仲介手数料)=4
となり、初期費用として最低でも4ヶ月分の初期費用がかかる事がわかるのぉ。
この費用にはもちろん共益費は含まれない為、5万円×4ヶ月分=計20万円の初期費用と自分で計算することができるのぉ。
尚、実際の賃貸契約では、前家賃として入居月の家賃と共益費の日割額…⇒続きを見る
共益費や管理費が設定されている賃貸物件を契約する場合、毎月支払う共益費や管理費に消費税はかかるのじゃろうか?
借家人はもちろん、これから大家業を営む方はこんな些細な疑問をお持ちの方も多いかもしれんのぉ。
ここでは、賃貸物件の契約時に覚えておくべき共益費・管理費の消費税のとり扱いについて確認しておくとしよう。
共益費の消費税については、まず結論から述べると原則すべて非課税扱いとして扱う事と定められておる。
これは国税庁が集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定について以下のように通達しておる為じゃ。
"住宅を共同で利用する上で居住者が共通に使用すると認められる部分の費用を居住者に応分に負担させる性格のものについては、共益費、管理費等その名称にかかわらず非課税となる"
その為、共益費の消費税に関しては借家人も大家も消費税は非課税として仕訳する事になる訳じゃ。
法人で賃貸業を行っている場合では経理処理の勘定科目として共益費を設定し非課税取引として仕訳しておくと良いじゃろう。
近年の賃貸住宅ではあらかじめ家具や洗濯機などの付帯設備を備えておる賃貸住宅も多くなってきておる。
海外ではこのような家具付きの賃貸住宅は珍しいものではないのじゃが、日本でもこのような家具付き賃貸住宅の供給が増加してきておるという訳じゃな。
尚、このような付帯設備があらかじめ設置されておりベットや洗濯機、エアコンなどの利用料金が賃貸料に全て含まれている場合の付帯設備利用料の消費税も非課税となっておる。
但し、付帯設備があらかじめ設置されておらず契約時に入居者の選択により付帯設備を設置する賃貸住宅などの場合は、これらの利用料金は課税扱いとなるので注意が必要じゃ。
大家が電気・ガス・水道料金などの水道光熱費をまとめて徴収する場合の消費税についても確認しておくとしよう。
消費税の課税・非課税の判定は電気・ガス・水道料金などの水道光熱費に関しても契約時の条件により消費税の判定が異なっておる。
例えば、各戸の使用実績を問わず全住居に対し電気・ガス・水道の供給サービスを行っている賃貸マンションの場合、契約書面上にこれらの水道光熱費に関わる費用全額を賃貸料に含むと記載しておる場合は、これらの費用は全て非課税扱いとなる。
これはマンスリー契約などで見られる契約形態じゃ。
しかし、全戸個別で光熱費を請求する場合や賃料に含まずに一定額の水道光熱費を徴収する場合はこれらの費用…⇒続きを見る