厚生労働大臣が定める生活保護者の住宅扶助は住宅の地域や家族構成(7人以上の家族)によって家賃補助額が異なっておる。
尚、この生活保護に関する住宅扶助の範囲は、厚生労働大臣が定める上限額内の家賃となっておる点をご存じじゃろうか?
ここでは、生活保護者の住宅扶助の家賃と共益費の考え方について幾つかの事例を元に確認しておくとしよう。
生活保護の受給を検討しておる方や、その仕組みを調べておる場合に物件の共益費は住宅扶助に含まれるのかどうか?という疑問を抱いた事がある方も多いのではないじゃろうか?
まず、この疑問に対する答えを簡潔に述べると、「共益費は住宅扶助の対象に含まれない」というのが答えじゃ。
実際に、住宅扶助の支給範囲の拡大に対する強い要望として挙げられる項目には住宅費用の「共益費」や「火災保険料」まで支給対象を広げて欲しいという要望が毎回のように挙げられておる。
この事からも現行の生活保護における住宅扶助の範囲では共益費や管理費、火災保険料などの住宅費用は含まれておらず、これらの費用は実質、生活保護費(生活扶助)の中から別途支払う必要があるという事になるのぉ。
生活保護者の住宅扶助費の範囲は家賃が対象であり共益費は対象外である事はここまでに解説してきた通りじゃ。
しかし、現実的には同じ物件でも共益費が記載されている場合や、共益費が家賃に含まれている場合などがある事から、家賃を共益費込みで契約してしまえば全額が支給対象となるのでは?と思い浮かぶ方もいるじゃろう。
全く同じ物件でありながら契約形態だけで実質支給額が異るような事であれば、やはり共益費を家賃に含めておきたいと考えてしまうのは当たり前の事じゃ。
尚、賃貸契約を行う際に共益費を家賃に含めた金額で記載した契約書を用いて契約した場合、現実的には共益費を含めた家賃全額が実際に住宅扶助として支給されておるのが現状じゃ。
要は契約書の契約形態の違いだけで住宅扶助額が異る、いわゆる支給額の差別化がなされておるのが現状の生活保護制度という事になる。
但し、住宅扶助に関する規定は年々変更が加えられてきておる。
その為、今後もこのような契約形態によって支給額に違いが生じる状況が続くは限らない訳じゃが、あくまで現状は契約書に記載された文言をベースとして審査が行われておるという訳じゃ。
生活保護者が住宅扶助を受ける場合、少しでも気の利いた不動産会社であれば共益費を家賃に含めた金額で契約するような配慮をしてくれる事もあるじゃろう。
ここまで、家賃と共益費が別々の形態で契約した場合と、共益費を含めた家賃による契約形態の違いについて触れてきたのは、生活保護をより多く貰うための方法として解説してきた訳では断じてない。
ちょっとした契約形態の違いだけで「知らない人」と「知っている人」の間に格差が生じる可能性があるという解りにくい制度である点に触れたまでの事じゃ。
共益費に対する考え方としては、契約時に別途「共益費」としての項目を設ける場合、共益費と家賃は異る性質の費用である事をまず把握しておくことが大切じゃ。
共益費の慣習としては、家賃と共益費が別々である場合や、共益費を含む家賃のみの記載の場合など曖昧な表記となっておる事が多いのじゃが、生活保護などの支給ではこれらの項目が影響を及ぼす事もあるという訳じゃな。